ブースト異常(過過給)の原因調査と対策
ブーストが高い値を示すため色々と調査および対策をしました。その記録です(2011年10月〜11月)
ECO CPUにしてからずっとMAX0.8kgでブーストが安定していましたが、ここ最近ブーストがすごく高いことに気づきました。
ずっとブースト計を見続けれないのでリニアな圧力の動きまではわかりませんが、
たまに1.0kg〜1.2kgを記録することもありました。
オーバーシュートなのかそのブーストが持続した状態なのかはピークホールド値だけではわかりませんが、
無意味にブーストが高いのはエンジンにも悪いし、精神的にあまりよろしくないです。
(ブーストが上がらないならまだしも、上がりすぎるのはやっぱ気になりますし。)
そろそろサーキットにいく準備をしようとした矢先のことでしたので、このままでは安心して踏むことができません。
原因はタービンのアクチュエータの劣化? それともデューティソレノイドバルブ?
どこをどのように調べて良いか自分で考えてももよく分からないので、中村さん(中村屋)にメールで教えていただきながら調査しました。
さっそく調査開始です。
1.まずは「ホースの劣化で圧漏れしていないか?」タービン周りのホースの劣化をチェック
→圧漏れするとウエイストゲートアクチュエータを動かすためのエアが逃げるので、結果ゲートを開く力も逃げてしまいオーバーブーストとなる。
エアクリとかをもろもろ外します。
このホース(青いシリコン)は2年半前にブーコンを撤去した時に新規で付け直したホースです。
走行距離もたいして走っていないですが念のためにチェック。外から見た限りでは綺麗ですし異常ありません。
外観チェックでは異常ありませんでしたが、どっちにしてもホースは新品に替えておこうと思い外しました。
外してからチェックしてもシリコンホースは綺麗な状態を保っていました。
(オリフィスが入ってる方のホースはカットして外したので不明ですが、同時期に新品にした物ですし特に問題なかったかと)。
2.次に「オリフィスがオイル汚れなどで詰まっていないか?」をチェック
→オリフィスが詰まっているとウエイストゲートアクチュエータを動かすためのエア圧がかかりにくく、結果ゲートを開く力が弱いため開ききらずオーバーブーストとなる。
オリフィスの詰まりとかもありません。綺麗な状態を保っています。
3.次に「ウエイストゲートアクチュエータ内部のダイヤフラムの劣化で圧漏れはないか?」をチェック
→ダイヤフラムから圧漏れしているとウエイストゲートを開く力が逃げてしまいオーバーブーストとなる。
アクチュエータ内のダイヤフラムの作動チェックをしてみました。
やり方はこんな感じでアクチュエータに0.6kgのエアを直接送ってウエイストゲートがちゃんと開くかをチェック。
アクチュエータに直接6φのホースを挿して、そのホースにエアコンプレッサから1kg程度のエアを送ってみました。
(整備書には点検圧力が0.6kgと書いてありますが、そんなに厳密な数値で検査できないので1kgぐらいで)。
その結果ちゃんとロッドを押してゲートが開いているようなのでOK?かなと思います。
次は作動確認ではなく気密性を調べようと思い、仕事で使う圧力測定器をつないでエア漏れチェックしてみました。
アクチュエータに圧力計をつないで10kPa(約0.1kg)の低い圧力をかけてテストしてみました。
すると、非常にゆっくりですが圧が下がっていきました。これはダイヤフラムが完全に気密性を保っていないと言うことだと思います。
でも完全に気密性を保っていなくても、0.5〜0.6kgの圧力でちゃんとウエイストゲートを開く力(バネを押す力)が働きさえすれば問題ないわけで、
これを異常と受け取るかべきか正常と受け取るべきか・・・。悩ましい(--;)
正解はわからないので他のサンプルで確認してみることにしました。
解体車のアンフィニくんから降ろしたエンジンのタービン(アクチュエータ)で同じように測定してみます。
アクチュエータにつながってるシリコンホースを外して圧力測定器に繋ぎかえて、同様に10kPa(約0.1kg)で気密テスト。
するとこちらも非常にゆっくりではありますが同じように圧が下がっていきました。
下がり具合はこちらの方がわずかに遅かったですがほぼ同等でした。
2つのアクチュエータを調べた結果、どちらもわずかに圧が漏れてる感じなので、ダイヤフラムの気密性はこんなものなのかもしれません。
新品時は完全に気密を保っているのかどうかが知りたいところではありますが・・・。
とりあえずアクチュエータには異常がなかったということにしました。
アクチュエータから三つ又までの6φのホースですが、純正ホースを使って元通りにつないでおきました。
タービン出口から三つ又配管までの6φのホースはあまりに狭いので、作業性を優先して今回も柔らかいシリコンホースでつなぎました。
もちろんホース内にはオリフィスも入れています。
それと、タービン出口のL字パイプの根元に圧漏れ防止の意味で液状ガスケットを塗りたくっておきました。(気持ちの問題ですが)。
エアクリなど一通り元に戻しておきました。
3.次はブースト制御をしているデューティーソレノイドバルブ関連をチェックしてみます。
オイルフィラーキャップの根元付近にある茶色いやつです。
まずはデューティーソレノイドバルブのカプラを抜いて走行チェック。
カプラを抜くことによってバルブが開かなくなるため、ブーストが上がってもエアの逃げ場が無く直接アクチュエータに圧がかかります。
そうするとアクチュエータのバネの設定値(FCは約0.5kg?)だけのブースト圧にとどまるはずです。
その結果ですが、Maxブースト0.5kgでした。アクチュエータ(ダイヤフラム)は問題なさそうです。
カプラを外したディーティソレノイドバルブもちゃんと「閉」の状態ということなんだと思います。
走行チェックの折り返し地点で、デューティーソレノイドバルブのカプラを元通り挿して走ってみました。
もしかして直ったりしないかな(^^;とか思ったりしても、やっぱ0.9kg超え・・・。アタリマエカ
4.デューティソレノイドバルブ本体の不良を疑って交換してみる
デューティソレノイドバルブ(以下デューティSV)そのものがおかしいかもしれないので、
解体車のアンフィニくんに付いていたやつと付け替えて確認してみようと思います。
今ついているデューティSVを外して、アンフィニくんのやつと交換してみます。
デューティSVにつながっているホースも手が届く部分だけは取り替えます。
片方はすでに以前シリコンホースに取り替えていますが、ついでに2本とも純正ホースの新品に交換します。
外したホース(純正の方)は固くなっています。(いつものことですが)。
膨らんだまま形状を記憶してます。とは言ってもここから圧漏れしはていなかったと思いますが。
アンフィニくんに付いていたデューティSVに交換すると共に、2本とも新品の純正ホース(4φ)でつなぎ直しておきました。
そして走行確認。直ってくれ!頼む!
その結果は!!
・・・やっぱMaxブースト0.9kgでした。。 しかしこれ以上は上がらなくなった。(かも)
念のためECUとディーティSV間の配線をテスタでチェックしてみました。結果異常なし。
配線に異常はなさそうなので、今度はデューティSV単品をチェックしてみました(2つとも)。
抵抗値チェックと、12V加えた時にバルブが開くかどうかのチェックです。
・抵抗値は気温(室温)が20℃もないので正確にはわかりませんが近い値を示していました。 →異常なし?
・12Vを加えてバルブの作動(ポート間の解放)を口で吹きながらチェック →異常なし。
・電源OFF時にポート間が遮断されてることを口で吹きながらチェック →異常なし。
デューティSV本体およびECUまでのハーネスにも異常がなかったので、
元々付いていた方のソレノイドバルブを清掃後、元通りに取り付けておきました。
ここまで整備書に従ってそれぞれの部位をチェックした限りではどこも異常はありません。
とりあえずここでまた走行チェックしてみます。
再度走行チェックする前に、暖機後にスロットルセンサーの位置をチェックランプで確認 →異常なし。
そして走行確認です。
デューティSVを元に戻した状態で走行確認
→同じように0.9kgのMaxブーストを記録。高いっちゃ高いですが安定してきてます。
5.T3rdさんに相談してみる
以前、T3rdさんが中村さんにデューティソレノイドバルブのことを聞いておられたので、その経験から何か情報をお持ちかと思い、T3rdさんにメールで相談しました。
そしたらT3rdさん電話がかかってきました!
で、その会話の内容ですが、脱線してばかりで関係ない話ばかりしてしまいました(笑)
特にT3rdさんのイヤらしい話には参りました(^^ゞ←オコラレル
冗談入れて書いてしまいましたが、ちゃんと相談に応えていただけました。その節はありがとうございましたm(__)m
6.圧力センサーの不良を疑って交換してみる
整備書を見ていたらブースト制御には圧力センサーからの信号も関係しているみたいなので(当たり前かもしれませんが)
アンフィニくんから外した圧力センサーに交換してみました。
そして走行確認です。
同じように約0.9kgで安定しています。
7.デューティSV〜アクチュエータまでの配管と、デューティSV〜インテークまでの配管をチェック
まずはアクチュエータにつながってる方のホースを抜いてメクラをして運転してみました。
カプラを抜くのと同じことかもしれませんが、結果0.48kgまでしかブーストが上がらなかったので、
途中の配管およびアクチュエータには問題ないかと思います。
次にリターン側のホースを抜いてメクラをして運転してみました。
どう受け取ってよいのかよくわかりませんが、Max0.86kgぐらいでした。
いろいろ確認してきた結果、デューティソレノイドバルブ周りを確認したり交換したりしたら改善傾向にありました。
やっぱここはディーティソレノイドバルブを新品にしてみようと思います。
8.デューティSVを新品に交換してみる
ついにここまできました。。 新品のデューティソレノイドバルブです。
9500円もしました(^^; でも新品が買えるだけ有り難いと思うしかありません。(そう思うようにしないと高くて高くて・・・)
ちなみにFD用のデューティSVは2個セットでFCのより2000円ぐらい安いです。。新しいモデルだとここら辺がお得ですね。
さっそく取り替えます。いつものツーショット(左が新品です)。
さっそく取り付けて走行確認です。
結果はMaxブースト0.9kg 0.8kgではありませんが、安定はしています。
9.高速道路でブースト計とにらめっこしてみる
デューティSVを新品にしたので、ブースト計をリニアに目視してやろうと思い安全を考慮して高速道路に乗って運転してきました。
発車する前に、ブーストメーターのワーニングランプ設定を0.85kgにセット。そして早速運転してみました。
平地もしくは上り坂で、できるだけブーストをかけ続けれるように70km/hぐらいから全開加速しつつブーストメーターとにらめっこしながら、
ということを繰り返しながらチェックしました。(安全確認は十分行なって見ています)
4速全開、5速全開でワーニングランプが長いことチカチカと点滅したり、時には点灯したりでした。
まとめてみると、
メーターの見た目では0.82kg〜0.85kgぐらいを指し、オーバーシュートではなくそのブースト圧が確かにかかってるように思える。
ただ、0.82kgを指し続けている時もワーニングランプ(0.85kg設定)はチカチカと点いたり消えたりを断続的に続けている。(たまに点灯状態にもなる)。
ということは、針には出ないけど(針の処理が追いつかない?)メーターのコントロールユニットにはブーストセンサーから断続的に0.85kg以上が入力されてるということかも。(単なる想像ですが)
これをどう取るかですが、ブーストメーターがおかしい可能性も無きにしも非ずです。
もし新しいブースト計を買うなら信頼性の高そうなデフィにして、2分間のレコーダー機能で後から確認もできそうです。
しかしお値段が高いのでまたいつか(^^;
結論?
いろいろ調査なり対策なりした結果、ブーストが少し高めではありますが安定しています。そして色々考えてみました。
もしかしたら、以前からMAXブーストが0.9kgぐらいかかっていたんじゃないか?ということです。
普段はFCで遠乗りとか全くしないので、高速乗ってブーストかけまくり走行ってのもしていませんし気づいていないだけだったのかも、、と。
ミニサーキット(グリップ)で走ったり、ドリフト練習会で走ったりはしますが、2速と3速で高回転を多用するだけで4速5速でフルブーストをかけまくること
が全くありませんし。なので普段は0.8kgで落ち着いていた(自分が気にならなかっただけなのかな?)と。
今回の現象を気にしだした発端は、高速道路走行後にたまたまピークホールド値をチェックして「なぜか1kg超え」が出たからです。
そういう意味では、0.9kg以上はまず上がらなくなったので、いろいろチェックしたり部品を新品にしたりしたのが無意味だったということはありません。
その点では安心感が戻って良かったです。
あとは0.9kgを常用することがいいのかどうか?何か他に異常をきたしているのではないか?という
素人の私には判断しづらい部分が残っています。
今になって思いだしたんですが、2009年6月に中村さんとこでECUを現物合わせしていただいた帰りの高速で
確認したMAXブーストの写真を見直してみたら約0.9kgのブーストが記録されていました。
(写真は2年半前のもの)
もしかしたら、この時からずっと今と変わらなかったのかもしれません。(ブースト計の不良の疑いも含めての話ですが)。
これらのことを中村さんに相談したところ、「圧縮測定も兼ねて見て(診て)みようか?」という提案が!
もう自分の判断ではどうすることもできないので、中村さんに診てもらうことにしました。久々(2年半ぶり)に中村屋へ行っくことにしました(^o^)
最後のチェック
中村さんとこへ行くのは決まったんですが、その前に自分で確認できることをもう少しチェック。
ブースト計は、FCでは定番の写真の位置にホースをつないで測定しています。
それを純正圧力計に繋がっているホースから分岐してどうなるか試してみます。三つ又をかませてホースを繋ぎました。(写真左)
接続口の違いでブースト圧の測定値が変わることもあるので。
サージ下部の空きニップルから取り出しているホースはとりあえず外してメクラをしておきます。(写真右)
その結果ですが、Maxブースト0.85kg。。
少しは本来の姿になってきたような気もしますが、誤差の範囲かもしれません。
あまり変化がないので、ホースは三つ又を外して元通りにしておきました。
次の方法(試み)ですが、ブースト計に繋がる配管の間にオリフィスを入れてみることにしました。
圧力の波?により、無駄にブースト圧を高く表示してるかもしれないと考えたからです。
(写真はオフリフィスが入った三つ又を使ってブースト計に繋いだ状態です。1箇所はメクラにしています。)
そしてその結果ですが、Maxブーストは0.85kgで変化はありませんでした。
ここまでいろいろと調査したり部品を新品にしたりして、Maxブーストが0.9kを超えることはなくなりました。
何かしら原因があったということだと思います。
部位は特定できませんが、デューティソレノイドバルブが一番怪しかったかもしれません。(あくまで推測です)
その2 〜 中村屋へ 〜