インジェクター&パルセーションダンパの交換 


アイドルアップ制御がうまくいかない、または炎天下でのエアコン使用時のストール連発などの原因がもしかしたらインジェクターにもあるのではないかという懸念を取り除く意味でインジェクターの交換をしました。その記録です。(2018年5〜6月)

うちのFCはこの時点で約19万kmの走行距離です。
11万kmでエンジンのオーバーホールはしてもらっていますが、インジェクターについては不明です。
おそらくそのままインジェクターは使っているのでは、と考えています。

アイドルアップ制御がうまくいっていなかったりエアコン使用時のストールなどの対策にと補機類を
今まで色々と交換してきましたが改善が見られません。
(スロットルセンサー、エアフロ、BACVなどの新品交換。スロットルのメンテナンスなど)

そしてある日のブログのコメで赤レンさんからインジェクターについての交換履歴を聞かれて、そういえば何もしていないような??
と思ったことをきっかけにインジェクター交換に踏み切ることにしました。

(写真は新品のインジェクター)


まずインジェクターを新品にするか、それとも洗浄品にするか悩みました。
洗浄品の中でもFC用として「レベリングインジェクター」という吐出量の揃ったものを4本セットで販売されているものもありました。(自分のを下取りに出して購入するスタイルのものです)
ただし吐出量が揃っていても、その元となるインジェクターは中古の洗浄品です。
何万km使ってきたブツかは分からないけど、現時点では不具合のない吐出量の揃ったインジェクターということだと思います。
でも値段は新品の4割ぐらいで2年4万kmの保証がついています。
自分のFCのを洗浄して再利用するのは今回は無しで(19万km使っているので)。


新品にするかレベリングインジェクターにするか非常に悩みました。
この先もFCに乗り続けるとしても2〜3万kmぐらいでしょうし洗浄品でも充分だと思える。

新品にする必要が本当にあるのかどうか決めるのにすごく時間がかかりました。高いので・・・。
結局、とにかく現在FCに抱えている不具合の懸念点をなくすには新品しかないか、、という考えで新品に決めました。



インジェクターだけではありません。
他にも「フューエルプレッシャーレギュレータ」と「パルセーションダンパー」も交換しておきたいと思います。


しかしFC(後期)はフューエルディストリビュータ(俗に言うデリバリーパイプ)と燃圧レギュレータが一体式になっていました。
パルセーションダンパも同じく一体型です。
一体型であるがために価格も高い。。
しかしこういったパーツをバラすのは一回だけでやりたいところ。
かなりお財布に厳しい選択となりますが、この2つのパーツも注文しました。



しかしどちらも在庫なしで納期未定という返事がきました。ショックです。
そうしたら数日後に「プライマリー側」のフューエルディストリビュータ(パルセーションダンパー側)は入荷されてきました。
非常に嬉しい知らせでしたが、「セカンダリー側フューエルディストリビュータ」の燃圧レギュレータがくっついている方は11月末ぐらいになるとのこと(ToT)
それでも入荷見込みがあるだけありがたい。とりあえず燃圧レギュレータだけは新品交換をあきらめて交換作業を行うことにしました。



交換作業に入る前に、燃料系の予習を。
作業するにしてもある程度の知識がないとDIYで取り替え作業するのは怖い。
(ショップにお願いしようかどうしようか悩みました)
hiroさんや赤レンさんは以前に交換作業をされているので、作業レポを拝見したりしました。

そして理解するにつれてDIYで作業することに決めました。
以下の内容が自分なりに理解したことです。知識のある人にとっては今さらな内容かと思います。
インジェクター交換なんてチューニング全盛期の頃から普通にされてましたよね。
でも私は初めてのことだったのでこの度かなり神経質になってしまいました。

ガソリンの経路ですが「フューエルフィルタ」 「フューエルディストリビュータ(プライマリー側)」
 → 「フューエルディストリビュータ(セカンダリー側)」「燃料タンクへリターン」 という感じです。

※整備書中の前期のブロック図の一部を変更して後期のブロック図にしています。(前期はプライマリとセカンダリの経路が逆でした)



マンガで書いたらこんな感じ。
赤線が「行き」で青線が「戻り」です。




<今回 整備書やネットの情報等でいろいろと調べてみて今さらながら理解したこと>

・プライマリー側のインジェクターは低負荷時から燃料を噴射する役割を持っている。

・セカンダリー側のインジェクターは高負荷時(3500rpm)から燃料を噴射するようになっているらしい。
 「FC用のECO CPU」だとセカンダリー側のインジェクターを2500rpmから噴射するようにプログラムを変更しているとのこと。
 これによりローター等を洗浄する能力を向上することができるらしい。

・プライマリー側のフューエルディストリビュータには「パルセーションダンパ」がついていてガソリンの脈動を抑えている

「フューエルプレッシャーレギュレータ」はセカンダリー側のフューエルディストリビュータにくっついていて一体型となっている。

・前期はフューエルディストリビュータと燃圧レギュレータ、およびパルセーションダンパが別体となっている。

・前期はセカンダリー側のディストリビュータが入口でプライマリー側が戻りになっている。(後期と比べて入口出口が逆)

・インジェクターの奥にはミキシングプレートという燃料の霧化を促進させるための部品が存在する。

・ミキシングプレートはセカンダリー側はエアブリードソケットと一体型で、プライマリー側は別体物。


頭の中では燃料の経路と各部品の機能や構成を理解したので、実際に作業に入ろうと思います。

と思ったのですが、やはり燃料関係だと神経を使うのでアンフィニくんから降ろしたエンジンで予行演習することにしました(笑)


ホース接続およびネジ止めだけなので作業的には難易度としては低いと思います。


プライマリー側(写真左)とセカンダリー側(写真右)


まずはセカンダリー側を外しました。エンジン単体で作業しているのでガソリンはたいして出ません。


長いこと放置していたのでインジェクターのボディに錆びが出てきています。


汚れに関しては普通? アンフィニくんの走行距離は11万kmぐらいでしょうか。



続いてインジェクターを外したあとの穴の中にあるエアブリードを外してみます。
他の方のブログを見ていたら、この穴の奥にあるソケットを外すのは結構大変っぽい。




最初はピックで引っ張り上げようと思ってやってみましたが、確かに出口付近で引っかかって出てこない感じ。
ピックだと一方だけに吊り上げる力がかかるのでソケットが斜めに傾くから余計に引き出しにくい感じです。

それなら平行に持ち上げればいいのでは?と考えてプライヤーをソケットの内側に突っ込み、
外へ広げる方向に力を保持しながら引っ張り上げると簡単に摘出することができました。




それなりにスス汚れがある感じですが、穴が詰まって機能を失っている感じはありません。
掃除してからOリングだけ新品に変えたらまだまだ使えそうです。



次にプライマリー側を外してみました。


こちらのインジェクターも見た目にはダメージは無さそう。



プライマリー側にはエアブリードソケットとミキシングプレートの2種類が入っています。
(写真はすでに両方とも取り出したあと)


ソケットは同様にプライヤーで取り出して、ミキシングプレートはピックで吊り上げました。
摘出する際に、壊れてハウジングの中に落ちていきそうな感じはなく意外と簡単に取り出すことができました。


予行演習は完了です。要領は得た。
これで実車の方の作業にかかります。ただし車載だと体勢が悪いしガソリンも多少出てくると思うので少し大変かも??



ようやく作業に入りました。
この時点でりんくう7DAYまで2週間ちょい。夜間に作業を少しずつ進めても時間的にはまあ問題ないだろうという計画です。

他についでの作業として、
・ウォーターポンプ交換
・メタリングオイルポンプのチューブとコネクタボルト交換
も考えています。

作業に入る前に「燃料飛散防止措置」を実施。
燃ポンのコネクタを抜いた状態でエンジン始動。エンジンがかかってからエンストします。
再度エンジン始動してエンジンがかかってすぐにエンスト。この状態で作業開始です。


インタークーラー、オルタ、エアポンプ等を取り外し。


ラジエターやカップリングファン、バッテリーなどを取り外し。


サージタンクやスロットルも取り外しました。



準備OK



予行演習と同様にセカンダリー側から外していきます。 燃料タンクのフィラーキャップも外して内圧を抜いておきます。


セカンダリー側の2つのインジェクター。フロント側が汚れています。若干の気密漏れがあったのかな??って感じでしょうか。



ホース2本とボルト2本を外して取り外し完了。
燃料飛散防止措置を行なっていてもガソリンはそれなりに出てくるので速やかに「栓」をしました。


インシュレータもインジェクタにくっついて外れました。


先端のキャップの割れ等もないですし見た目には異常はないですね。


外したホース側にも「栓」をしています。




セカンダリーインジェクタが挿さっていた所に挿入されているエアブリードも新品に交換します。


先端の細いプライヤーを使って引っこ抜きます。


予行演習と同じ要領で特に問題なく摘出。


スス汚れはそれなりにありますが機能的には問題はなさそうです。


Oリングは硬化してペタンコです。



続いてプライマリー側の取り外しです。


ホース1本とボルト2本を外して取り外し完了。樹脂製のインシュレータは再利用します。


続いてエアブリードソケットとミキシングプレートを外していきます。



エアブリードソケットはセカンダリー側と同様にプライヤーで摘出。


そしてその奥にあるミキシングプレートをチェック。特に欠けとか割れとかも無く問題なさそう。
この部品も取り外して新品にしようかと思いましたが、気密性等には関係なさそうですしそのまま使うことにしました。


プライマリー側のインジェクタ。先端キャップの割れもなく見た目に異常はみられません。




これで取り外し作業は完了しました。
ここでエンジン側のインジェクタ周りの掃除等をしておきました。




取り付け作業に入っていくわけですが、途中で風邪をひいてしまい6日間ほど作業が完全に止まってしまいました。
夜間に少しずつ作業をしてきましたが、風邪をひいてからは昼間に仕事をこなすのがやっとで夜間にクルマいじりどころではありませんでした。

りんくう7DAYまで残り10日。そのうち夜に3つの会議が入っています。
なので作業できそうな夜は7日。
ついで作業としてメタリングオイルプンプのチューブ交換とウォーターポンプ交換も考えているのでさすがに焦ってきました。
間に合わないかも。。

でもやるしかありません。FCが動かないのでは話しにならないので作業再開。

メタリングオイルポンプのチューブ&コネクタボルトの交換レポはこちらにUPしております。

ウォーターポンプ交換の作業レポはこちらにUPしています。


これらの作業を済ませてりんくう7DAYまでに作業できそうな夜はあと4日。かなり焦ってます。
作業が済んだからといって普通に動くかどうか分かりません。 1〜2回は試運転しておきたいですし。


新品のフューエルディストリビュータ(プライマリー)とインジェクター4本です。


それに繋がるホース類とバンドも新品に。


プライマリー側のディストリビュータに新品のホース2本を先に取り付けておきました。




エンジン側にも燃料ホースの新品を先に取り付けておきました。


新品のエアブリードソケットです。Oリングにオイルを塗布して挿入。


そしてインジェクタのOリングにエンジンオイルを塗布してからディストリビュータに挿入。
またインシュレータをインジェクタに取り付け。
しかしインシュレータは先にエンジン側に取り付けていた方が組み付け易かったのでインジェクターから取り外してエンジンの挿入側の穴にインシュレータを先に入れてから組み付け作業しました。


燃料ホースも挿し込んで、ディストリビュータをボルト2本で固定。 エンジンとの間にディストリビュータ用のインシュレータを挟むのを忘れないように。
またボルトは左右で種類が違うので間違えないように注意しました。


インジェクタの角度は整備書では45度にセット。
と言っても固定してからも多少回転はできるので厳密には角度は関係ないと思います。コネクタが挿せれば良いかと。


インジェクタにコネクタを挿入。 パチっとロックすればOK。



続いてセカンダリー側。 まずは新品のエアブリードを挿入します。


Oリングにオイルを塗布してから挿入。




そしてインシュレータをセット。





インジェクタを取り付けます。セカンダリー側はディストリビュータ(燃圧レギュレータ含)は再利用です。
新品が入手できた時点で再度交換作業しようと思います。
そう言えば新品のインジェクターですが、吐出量など細かいことはもちろん分からないのでコイルの抵抗値を測定して
抵抗値が近いもの同士をセカンダリーとプライマリーでペアにして使いました。気持ちの問題ですが。


インジェクタのOリングにはオイルを塗布。




インジェクタを挿しておいて、、


ディストリビュータを取り付け。組みつける際に接合部分やOリングにネジレが生じないかなど確認しながら慎重に作業しました。
またこのセカンダリ側のディストリビュータ固定ボルトも左右で種類が違うので間違えないように注意しました。


そしてインジェクタのコネクタも挿入。コネクタをつけたらディストリビュータのボディにコネクタが当たるぐらいに回しました。
燃料ホースの組み付けも問題はないか再確認。ホースバンドもバンドも再チェック。


入口の燃料ホース。確認OK。


これでインジェクターの交換作業は完了です。
この時点でりんくうセブンDAYまで実質残り3日。補機類やラジエターなど早く元通りにしていかないと!



補機類を元に戻す前に燃料漏れはないかチェックしようと思います。
バッテリーをいったん元に戻しておいて、、
運転席側のストラット付近にある黄色い2端子のコネクタを短絡します。これで実際にエンジンをかけなくても燃料ポンプが作動するらしい。
キーを「ON」のところまでひねってIG-ON。 フィラーキャップを外して耳を近づけて燃ポンの作動音を確認します。確かに燃ポンが動いています。


その状態でインジェクター周りに耳を近づけてみました。
「サラサラ」という表現が正しいかどうか分かりませんが液体が流れているような音が聞こえます。
この状態で2.55kの燃圧がかかっているのかどうかは分かりませんがちゃんと燃料は循環しているように思えます。
またホースやインジェクターの継ぎ目から燃料のニジミ等もありませんしガソリン臭もしません。異常なし。


せっせと補機類などを元通りにしていきます。時間がありません(汗)


サージのガスケットはまだ使えそうでしたが燃のために新品に。 サージ&スロットルを取り付けて水路やバキュームホースを次々に元通りに。


つなぎ忘れはないか入念にチェック。タイラップで抜け防止も。




どんどん元に戻していきます。


最後にインタークーラーを取り付けて完了。




いよいよエンジン始動です。自分的にはけっこうな緊張の瞬間でした。
燃ポン強制作動時にインジェクター周りにはガソリンは満たされていると思うので、キーをひねってからエンジンは一発始動でした。
アイドリングのバラつきはありません。とりあえず作業に問題はなさそうです。
ウォーターポンプを交換した時に冷却水を全部抜いて新しいクーラントを入れたのでエア抜きも兼ねてアイドルさせています。



メタリングオイルポンプのチューブ等も交換しているので、チューブ内にオイルが上がっていくのが確認できるまでかなりの時間(30〜40分)を要しました。
この間にエア抜きもほぼできましたし、アイドリングの学習も(ライトONやエアコンONなどの学習も)できたかと思います。


それからいったんエンジンを切ってその日の作業は完了。
翌日の夜に試運転にでかけました。当たり前ですがエンジンはちゃんと吹けるしブーストも特に問題なくかかりホッとしました。
試運転直後にはすぐにボンネットを開けて、ガソリン臭はないかチェックしましたが問題なさそうです。
りんくう7DAYの2日前になんとか作業が完了しました。ギリギリ間に合って良かった。

試運転後のインジェクタの確認。セカンダリー側しか見れませんが異常なし。




いよいよ7DAY当日です。らんなーずさんとご一緒しました。

らんなーずさんにはインジェクタ周りの交換作業をしたことを話して、消火器もちゃんと積んでいることも伝えました^^;
でもあれだけ慎重に作業しましたし入念に確認もしたので、万が一ってことはないと思います。


んで無事に兵庫のセントラルサーキットに到着。



アイドルアップ制御についてですが、結論から言うとエアコン使用時のストールに関してはあまり変わっていないような感じです。
過負荷走行時のアイドル不調があった兼については、次回のドリ練等で確認するしかないです。街乗り程度では分からないので。


ここまでやってアイドルアップ制御に対する改善結果が出ないのは非常に残念です。
でもまあ圧縮低下に対する対策も自分のできる範囲でやっておきたいですしインジェクター交換をして自分の中での懸念点は一つ減りました。
それに燃料関係のフローの勉強になって良かったです。クルマイジリの趣味でしか役に立たないけど。。

あと交換してみる部品としては燃圧レギュレータぐらいになりました。
本当は今回の作業で終わらせたかったのですが、部品が入手できなかったので仕方ありません。
今後新品の燃圧レギュレータが予定通り入手できることを願って、入手後の交換後にどう改善するか??ですかね。

そこまでやったら、「ここまでやりました」とドヤ顔で中村さんのところに行ってECU書き替えで対応してもらえたらと思います(笑)

以上です。


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