ミッションオーバーホールの道
〜 その10 ミッション組立の続き(ギヤ組み付け) 〜
ミッションの組み立ての続きです。今回はギヤの組み付けです。(2008年4月)
FD用のハブクラッチを流用するにあたって、新品を買おうか悩んだ末に、手持ちの中古を使うことに決めました。
分解の時、「シンクロナイザ・キー」の3辺の寸法を測定した結果、幅方向が磨耗してるように思えたので、この「キー」だけでも新品にしました。
ハブクラッチASSYの新品はすごく高い(15,000円ぐらい)ですが、キーだけなら安かったので^^;
それと、そのキーを外側方向に押さえつけているスプリングも新品にしました。
で、新品のキーの寸法を測ってみたところ、なんと幅は以前測定した中古と変わりません(^-^;
基準値に対して、新品も最初から小さいようです。これでは基準値の意味がわかりません^^;
1&2速用のシンクロナイザ・キーですが、基準が「6.0mm」「18.0mm」「5.45mm」に対して、新品でも幅方向が基準値より小さいです^^;
キー1
キー2
キー3
3&4速用も同様に幅方向が基準値「5.0mm」「17.0mm」「4.25mm」に対して小さいです。
キー1
キー2
キー3
まずは3&4速用のハブクラッチをバラします。
キーが3つと、スプリングが表と裏に1個ずつあります。これを新品に交換しました。
ハブとスリーブには向きがあるので、反対に組み付けないように確認して組みます。
1&2速用のハブクラッチも同様に。
そして次に2速と3速のギヤですが、これも新品を買おうか少し悩みましたが、やっぱ高いので手持ちの中古でいきます(^^;
まずは3速です。
古いシンクロとニードルベアリングを外して、パーツクリーナーでギヤを洗浄します。
ダブルコーンシンクロとニードルベアリングは新品にします。
シンクロはこんな感じで、「シンクロナイザ・リング」と「ダブル・コーン」と・・・
「インナーコーン」の3部品の構成となります。
ギザギザ部分の新品と中古の比較です。磨耗してるっていえばしてますが、やっぱまだまだ使えたのかも??って気もします。
ギヤを洗浄して、オイルを付けてシンクロ等をセットしていきます。
次に2速です。こちらもダブルコーンシンクロとニードルベアリングを新品にします。
こちらも新品のシンクロとの比較。新品と比較しても磨耗具合の判断って難しいですね。。(^_^;)
ギヤを洗浄して、オイルを付けてシンクロ等をセットします。
やっとメインシャフトへの組み付けに入ります。
まず2速から。ハブクラッチ1&2速用に2速ギヤを乗っけます。そしてニードルベアリングを入れます。
ベアリングなど、先にメインシャフトへ通しておいてもかまいません。
ハブクラッチには、当然向きの決まりがあって、見分け方はスプラインにはまる部分のギザギザにテーパー処理が入っているか入っていないかです。
テーパー処理が入っている側が挿入方向となるみたいです。
プレスにセットして、グイっと押し込みます。
次は3速。
シャフトにニードルベアリングを入れて、3速ギヤを入れてハブクラッチをセットします。このハブクラッチも挿入方向の見分け方はスプラインのギザギザ部分にテーパー処理がしてあるかしてないかです。こちらもテーパー処理側から入れていきます。
そしてプレスでグイっと押し込みます。プレスで使うカラー(筒)は塩ビパイプのソケットを使いました。
しっかり奥までちゃんと入ったら、メインシャフトの先端にスナップリング(新品)をはめておきます。
さてこれからギヤ(メインシャフト)をケースへ組み付けていくわけですが、組み付けの際、両端に4つのベアリングを使います。
メインシャフト(メンドラ含む)両端に2個、カウンターギヤシャフト両端に2個の合計4個です。
そして、メインシャフト後側のベアリングと、カウンターシャフト前側のベアリングにはシムを使って、ケースからの飛び出し量を調整してやらないといけません。整備書にはこれを「エンドプレーの調整」と書いてありました。私には言葉の意味が分かりませんが(^^;Aイイノカ?
メインドライブシャフト(後側) カウンターシャフト(前側)
ようは、これらのベアリング表面にさらにケースが組みつけられる訳ですが、それとの接触量(押し付けられる量)をシムで調整するって意味があるんだと思います。
そのシムの厚みを決めるには、ノギスでベアリングの寸法を測り、ケース側の寸法も測り、その差で判断することになっています。
とりあえずノギスで測ってみました。しかし、ノギスのお尻で深さや高さを測るのは限度があります(*.*;)
常盤も持っていないし、ノギスを垂直に当てないと、0.1mmの寸法なんてすぐに測定誤差が生じます。
いちおうノギスで測ってみた結果です。
メインシャフト側・・・5.0−5.1=-0.1mm 基準値の0mmにするには「0.1mm」のシムを使えば良い。
カウンターシャフト側・・・3.6−2.8=0.8mm 基準値の0.9mmにするには「0.1mm」のシムを使えば良い。
しかしやはり引っかかる(気になる)ので実際にベアリングを打ち込んで実測値で決めることにしました。
ギヤやシャフトが入っていないドンガラのケースの状態であれば、ベアリングも簡単に叩き出せます。
逆に、実際にギヤごと組み込んでいって、もしシムの厚みが合わなかった場合、またバラすことを考えたら途方にくれそうですし(^-^;)
ということで実際にベアリングを打ち込んで、ストレートエッジをケースに当てておいて、シクネスゲージで「ベアリングのツラ」と「ケース表面」とのスキマを測ってみることにしました。
そこで出た値は、やっぱノギスで測った値と違いました〜(^^;
メインシャフト側は0.3mmがちょうど良いシムでした。これでツラの出ぐあいは基準値0〜0.1mmに対して0.05mmになりました。
カウンターシャフト側も0.3mmがちょうどよいシムでした。これでツラの出ぐあいは基準値0.9〜1.0mmに対して1.0mmになりました。
※参考情報:FDの整備書には、メインシャフト側ベアリングのエンドプレー基準が0〜0.05mmと厳しくなってます。
シムの厚みも決定したので、2つのベアリングをミッションケースから外しておきます。
そして作業に戻ります。
2速と3速を組んだメインシャフトですが、これに1速を入れます。
1速のシンクロは前回の表に書いていたように、FD用の一番新しいシンクロを注文しました。
1速ギヤはFC時代からず〜っと変わっていませんが、シンクロだけ品番変更しています。
ハブクラッチにFD用を使うんだから、シンクロもFD用が良いだろうという考えです。
1速にはニードルベアリングの中にインナーレースが入ります。(どちらも新品を準備)
インナーレースを入れて、ニードルベアリングを入れて、、、
シンクロを乗せた1速ギヤをはめ込みます。
そしてスラストワッシャーを入れます。
このスラストワッシャーはメインシャフトのスラスト方向のクリアランスを決めるための選択部品となっています。
もともと付いていた厚さ3.0mmのワッシャを再使用します。0.5mm刻みで部品が出てます。
これはギヤをケースに一通り組み込んでいかないと、その厚みで良かったかどうか判断できません。
とりあえずもともと付いていた厚みの物を再使用することで、一発勝負に出ます(^-^;)
この状態でメインシャフトをケースに入れて、シフトフォークもセットしておきます。
シフトフォークは新品です。
ちなみにハブスリーブとのスキマは、新品シフトフォーク&中古ハブスリーブの組み合わせで「0.25mm」でした。(基準0.2〜0.3mm)
拡大写真です。
メインシャフトをベアリングで固定する前に、カウンターギヤシャフトを入れます。
そうしないと、クリアランスの関係でカウンターギヤシャフトをケースに入れることができないからです。
カウンターシャフトですが、もともと付いていたベアリングのインナーレースが残ったままでしたので、それをプーラーで外します。
そして新品ベアリングに付いているインナーレースだけをプレスで圧入します。
塩ビパイプは意外と丈夫で、いろんなサイズがあるので、プレスのカラー(治具)としてよく使ってます^^
そしてカウンターシャフトを入れてタイラップで固定しておきます。メインシャフト側のギヤとガツガツぶつからないようにするためです。
ケース後側のメインシャフトベアリングに、先ほど測定して決めたシム(0.3mm)をかませて入れていきます。
が、しかしこの新品のベアリング、手でするすると入りません(>_<) 外す時はドライバーでこじった程度でスルっと外れたんですが。。
写真の位置から入っていきません。品番変更(R501→R506)で内寸が若干小さくなってるようです(*_*;)
圧入することにしました。スルスルだった古いベアリングを間にかませて、圧入のカラーとして使う古いベアリングインナーレース(廃材)を当てて・・・
下側(2&3速のハブクラッチ)に受けとしてカラー(塩ビパイプを使用)を置いて、パイプを当ててハンマーで叩いてみました。
しかしなかなか入りません(><) 結局プレスを使って入れました。
こんな感じでシャフトの奥までしっかり入り込んで、ミッションケースにもきちんとはまればOKです。結構手こずりました(*o*;)
メインシャフトの後側が固定されたら、次は前側のベアリングです。私はメンドラと一体で外したので、取り付けも一体でいきます。
とりあえず古いベアリングをプレスで外しました。
そして新品のベアリングに打ちかえます。
メンドラ内部のニードルベアリングも新品にします。その奥側の穴にはグリスを塗っておきます。
そして新品のベアリングを入れておきます。
4速用のシンクロリングですが、以前FC純正品を安く購入していた中から使います。
これらを買う時は、FDのギヤ(&シンクロ)を流用するつもりがなかったので、FC用が4つもあまることになりました(^-^;)
新品の状態です(4速)。
そのシンクロリングをハブクラッチにはめておいて、メンドラをはめ込みます。
そしてベアリングを叩きいれます。これでメインシャフトは前後ともベアリングて固定されました。
次にカウンターギヤシャフトの作業に入ります。ベアリングはもちろん新品にします。
リヤ側のベアリングのインナーレースは、先ほどカウンターシャフトに圧入済みなので、アウター側のみを入れる感じとなります。
プラハンで叩きいれます。
そしてこちらはフロント側の新品。先ほど測定して決めたシム(0.3mm)を入れておいて・・・
叩きいれます。
余談ですが、このベアリングも変更になっていました。メーカーが変わって厚みが薄くなっています。(組み付けには影響なし)
ベアリングがちゃんと入ったら、スナップリングをメイン&カウンター側ともとめておきます。
これで1速〜4速までの組み付けが完了しました(^o^)丿
そういえば1速ギヤの次にいれたスラストワッシャー(厚み3.0mm)ですが、その厚みで下の写真の位置のクリアランスが決まります。
4速のシンクロリングの凹部とキーの間のスキマで判断するみたいです。
FCの整備書ではこの間隔が「2.0mm」と書いてあります。
でもバラす前にも測っていたんですが、もともとそんなにスキマはありませんでした。
そこでFDミッションの整備書を見ると「0.66mm〜2.0mm」と基準の幅が広がっていました。
私が組んだ状態で、目視的に1mmぐらいなのでOKとしました(^^ゞ
だいぶん先が見えて来たので、盛りあがって来ましたよ〜(^O^)
〜その11 ミッション組立完了〜 へ続く