ミッションオーバーホールの道
    〜 その11 ミッション組立の続き(5速&Rギヤ組み付け) 〜
 


前回1速〜4速まで組み付け完了しました。その続きです。(2008年5月)

クラッチハウジングから組み付けていこうと思います。
ここもエンドプレーの調整というのがあり、シムを決める必要があります。
まずはクラッチハウジング側の深さを測定します。
出来るだけ垂直にノギスを当てれるように、直角定規2つを当てて測定しました。測定誤差がかなり軽減されると思います。


ベアリング側(メンドラ側)の出っ張り高さは、ストレートエッジを当てて、スキマゲージで測定しました。


ハウジング側の深さが5.4mmに対して、ベアリングの出っ張り量は4.8mmでした。0.6mmの差があります。
基準は、その差が0〜0.1mmです。測定した結果からすると、0.6mm〜0.7mmのシムが必要となります。

もともと付いていたシムは0.5mmでしたので、今回購入した0.1mmのシムを重ねて使います。

※シムは0.1mm単位で純正部品が出ていますので、0.6mmの1枚物を買ってもいいと思います。

組み付ける前に、オイルシールを新品にします。


適当に合うサイズのソケットを当ててハンマーで「ガン」と外します。


そして新品のオイルシールは、塩ビパイプを当てておいて、丁寧に叩いて入れておきました。


次はピボットです。
擦れた(削れた?)ようになっていたので、こちらも新品にしようと思います。


新旧のツーショットです^^ 新品パーツにはネジロック剤のようなものが最初からネジ部についてます。


規定トルクで締め付けておきました。


さていよいよ合体させます。
接合面に液状ガスケットを塗ります。そしてオイルシールを傷めないようにシャフトに通して、ボルトで固定します。
矢印の位置に先ほどのシムを乗せてます(オイル等を塗って落っこちないようにハウジングを組みつけました)。


そしてオイルシールとメンドラシャフトをカバーするような部品(レリーズベアリングの芯)も組み付けておきます。


そういえばクラッチハウジングを固定する10本のボルトの内、1本はミッションケース内にネジ穴が貫通しています。
なので、ネジ部にもしっかりとガスケットを塗布してねじ込んでおく必要があります。


これでクラッチハウジングの取り付け完了!! ハウジングを付けたら、ミッションを立てて作業できます^^

※余談ですが、ミッションを立てるときは、下に木などを敷いてメンドラが地面に当たらないようにする必要があると思います。
よくオクなどで、そのまま立ててある写真を見ますが、メンドラシャフトはクラッチハウジングよりも僅かに飛び出しています。
ということは、そのまま立ててあるものは、メンドラシャフトが押されてることになると思います。あれって大丈夫なのでしょうか??^^;

順調に進んでるのでウキウキ気分でやってましたが、やっぱオチがあります^^;
オイルガイド?を組むのを忘れています(T▽T) これはクラッチハウジングとミッションケースの間に入る部品です。
ということは、せっかく液状ガスケット&ボルトで固定されたハウジングをまた剥がないをいけません(TT)
ものすごくテンションが下がりました^^; もうイヤです。でもしょうがないです。
また外します。ガスケットも綺麗に剥がします(><。)


ということで、クラッチハウジングを外して、オイルガイドを入れて、組み付け直して、やっとここまでできました(^^;


気を取り直して次の作業です^^;
メインシャフト後ろ側のベアリングを固定するプレートを取り付けます。


そしてリバースギヤを組み付けます。
まずはスラストワッシャーを入れます。このスラストワッシャーは厚み違いで選択部品となってます。

前回の作業で、このベアリングの内側に同じスラストワッシャーを入れましたが、そのワッシャーと、今回のワッシャーの両方で6.0mmにする必要があるみたいです。(この2枚でスラスト方向のクリアランスが決まる)。
もし片方が2.5.mmだったとしたら、もう片方は3.5mmにする必要があるみたいです。
前回の作業では、私はもともと付いていたワッシャー(3.0mm)を使ったので、今回の外側のワッシャーも元々付いていた3.0mmのワッシャーを使います(あわせて6.0mm)。

そしてインナーレースを入れて、二−ドルベアリングを入れます(両方とも新品)。


そしてシンクロリング(新品)をはめたリバースギヤをセットします。


次に洗浄してオイルを塗布したシフトロッドを入れます。
1&2速用を入れて、シフトフォーク側の穴を合わせて、スプリングピン(新品)で固定します。


この状態で俵型のキーを入れます。二重かみあい防止の部品です。
非常に入れにくいですが、指や細い棒などを使って写真の位置に入れます。


なぜこれが二重かみあいの防止になるか全く理解していませんでしたが、なんとなく分かりました(^o^)
マンガを見てもらえばわかると思いますが、私が理解した限りでは次のような感じです。

ニュートラル位置では、1&2速用のロッドと3&4速用のロッドの凹んだ部分にこのキーが位置します。
同様に3&4速用のロッドと5&R用のロッドの間にも入ってます。

そして例えば、1速に入れたとしたら、ロッドのまっすぐな部分がキーを押して3&4速ロッドの凹み部分にハマります。
するとこの状態では3&4速側のロッドは固定されてる状態なので動きません。(5速&R用は動きそうですがね^^; )


例えば、3速に入れたとしたら、ロッドのまっすぐな部分が左右のキーを押して左右のロッドの凹み部分にハマります。
するとこの状態では1&2速側のロッドと5&R側のロッドは固定されてる状態なので動きません。
では5速に入れた時はどうなるか。3&4速のロッドは固定されますが、1&2速はロックされてないように思います^^;

このように二重かみあい防止のインターロックが働くみたいです。よく考えてあるな〜と思いました(^^ゞ 勉強になります^^

しかしFDではさらに進化して、FCのように中途半端な防止策ではなく、インターロックが完璧です。
FDの場合、下の図のように、1&2速のロッドが動いた時に5&R用のロッドまで動かないような仕組みになってます。
俵型のキーの間に細長いキーが入っていて、それで2つの俵型のキーが連動して動くように改良されてるようです。


3速の状態はFCと同様にFDも左右のロッドは固定されます。
5速の状態では、FCではロックされなかった1&2速用のロッドもFDでは固定されます。


やっぱFDは進化してます(^-^) さすがFD3S!


次に3&4速用のロッドを入れます。(こちらも洗浄&オイルを塗って)
そしてフォークの穴に合わせたら、スプリングピン(新品)を打ち込んで固定します。


次は5速&R用のハブクラッチを取り付けます。
ここのハブクラッチは山がけっこう丸くなっていたので、FC用の新品を買いました。


同じように向きがあります。
このハブクラッチもギザギザ部分にテーパーが入ってる側が挿入方向と書いてありましたが、テーパーなんてありませんでした^^;
どうやら保守パーツではテーパー処理の工程は無くされたようです(^-^;


挿入方向自体は、ハブクラッチの形状からでもわかるのですが、テーパーが入っていないとやっぱ引っ掛かり気味でシャフトに入りにくいです。
なので、ヤスリで適当に(ほんとに適当に)削っておきました。バリ取りした感じ。


そしてシャフトに組み付けます。少しきついです。(元々ついていたハブスリーブはスルスル抜き差しできたんですが。。)
叩いて入れようかとも思いましたが、ここはあえて叩かずに、新品のロックナットを締め付け(仮締め)ていって定位置まで入りました。


ロックナットの締め付けトルクは13〜20kgf・mです。FDの整備書では16〜24kgf・mと書いてあります。出力の違いからでしょうか。
FDに習って真ん中の値の20kgf・mで締め付けようと思います。(FCの整備書から見れば上限値です)。

しかし20kgのトルクってかなりのもんです。締め付け自体は力を入れればOKですが、問題はミッション側の固定です。
かなりガッチリとミッションを固定しておかないと20kgなんて締め付けできません。

いろいろと考えたあげく、脚立とエンジンスタンド、プレス等を使って作業しました。ミッション本体の固定はエンジンスタンドです。
エンジンスタンドは4〜5千円の安物です。ずいぶん前に買った物ですが、今回初めて使います。しかもミッションに(^^;


ミッション自体が固定できたら、ナットを締めつけるに当たって、メインシャフトの回り止めがいります。
回り止めをするには、ギヤを2つ同時に入れておけばOKです。
整備書に習って、1速と4速に入れておくことにしました。。。が2つ同時に入りません(*_*;)
よく考えたら、先ほどの作業で二重かみあい防止のキーを入れたばかりでした。まじバカ野郎です^^;

せっかく固定したシフトフォークですが、片方のスプリングピンを打ち抜いてフリーにしました。
そして1速と4速の両方を同時に入れた状態にして固定し、トルクレンチを使って20kgで締め付けました。
締め付けは以前製作した超ロングソケットが活躍しました^^

規定トルクでナットを締めつけたら、ピンポンチで回り止め部分をつぶしておきます。


リバースのカウンターギヤを入れて、リバースアイドルギヤ用のシャフトを挿して・・・


スラストワッシャを入れて、リバースアイドルギヤを入れます。


リバースギヤは1〜5速に対して反対に回転しないといけないので、3枚のギヤで構成されてます。


先ほど抜いた3&4速用のシフトロッドを再度挿入します。


そしてスプリングピンでフォークとロッドを固定します。こちらも再度。。


シフトロッドを前後位置で固定するボールとスプリングですが、スプリングだけは新品にしようと思います。
このスプリングが縮んでしまっていてはボールを押さえつける力が弱まるからです。
しかし新旧比較してみましたが、自由長の変化はありませんでした。再使用できたかも(^^;


ボールとスプリングをセットして・・・


キャップボルトには液状ガスケットをネジ部に塗布して締め付けました。(新品だと銅ワッシャがパッキンの役割をしてるから不要です)。


そして今度は、3&4速用ロッドと、5速&R用のロッドの間に俵型のインターロックピンを入れます。


この場所になります。途中で落っことさないように入れないといけないので意外と難しいです。。


5速&リバース用のシフトフォークを組みつけます。これは新品です^^


新品のも5速&R用はアルミ製でした。なぜなんでしょうね(?_?)




フォークをハブスリーブにはめて、ロッドを挿入します。


そしてスプリングピンでロッドとフォークを固定します。


5速&R用のスプリングとボールですが、ここもスプリングのみ新品にしました。 ボールを入れて・・・


ネジ部に液状ガスケットをつけて、スプリングも入れて締め付けます。


次は5速ギヤです。
新品のシンクロリングです。他の5種のシンクロと比べて、角が立ってます。何らかの意図があるとは思うんですが。。
また、リングの輪っかの部分にあちこち掘り込みがあります。オイルを回すための意味があるのか、まあいろいろと考えられてるみたいです。


5速のシンクロリングをハブクラッチにセットしておきます。


そして洗浄してオイルを塗布した5速ギヤを・・・


シャフトに通してシンクロの上にはめ込みます。その後に、ニードルベアリングもいれます。


ボールをシャフトの穴にセットして・・・


スラストワッシャの切りかきとボールの位置を合わせてセットします。このスラストワッシャは厚み違いの選択部品です。


そしてCワッシャをシャフトの溝に左右から挟むようにセットします。


Cワッシャを下に押し付けながら、スラストワッシャとのクリアランスを測ります。
基準値「0.1〜0.3mm」に対して測定値は「0.2mm」でした。(参考までにFD整備書では基準値が0.1〜0.2mm)
もし基準に入らなかったら、厚みの違うスラストワッシャを購入して使う必要があります。


クリアランスに問題がなかったら、Cワッシャを囲むような役割のリングをはめます。


そしてベアリングを打ち込みます。新品のベアリングです。変に青い色です^^; 入るところまで手でセットしておいて・・


打ち込み用のカラー(ベアリングの廃材)を当てておいて、自作の超ロングソケットを使ってハンマーで叩き入れました。


ベアリングとCワッシャがくっつくまで入ればOKかと思います。


ベアリングを入れたら、またCワッシャを入れます。シャフトの溝へ左右から挟み込むような感じです。


この部分もクリアランスの測定があります。
Cワッシャを下へ押しつけておいて、シャフトの溝とCワッシャとのクリアランスを測ります。測定値は0.1mmでした。


基準値はFC整備書では「0.3mm」と書いてありました(公差なし)。でも測定値は0.1mmです。。う〜む。
もっと薄いCワッシャにしないといけないんかな〜、とか考えましたが、FDの整備書を見ると基準が「0〜0.1mm」と書いてありました。
なのでOKとし、次の作業へ移ります。(ちなみにCワッシャは2.9mm〜3.2mmまで0.1mm刻みで部品が準備されてます)


クリアランスOKとし、Cワッシャを囲むようなリングの部品をはめます。


スラストワッシャをのせて・・・


スナップリングで固定!


クリアランスの問題も一発でOKで、「順調、順調♪」と思いながら、次は5速用のカウンターギヤを組みつけます。


しかし入りません(><) ベアリングよりも先に組み付けておかないといけなかったようです(TT)またやってもーた。。
下の正しい写真のように、5速用のカウンターギヤは正しくはベアリングの下(内側)に入ります(T▽T) 組み直しです。。(TT)バカデス


ベアリングのバラシからやり直しです^^; またプーラーを引っ張り出してきました。。そしてベアリングを外します。


カウンターシャフトにカラーを挿入します。そして5速のカウンターギヤを入れます。


そしてベアリングをぶっ叩いて入れます。これが正しい位置関係です。遠回りしました〜^^;


やっとセンターハウジングの組み付けに入れます!

だがしかし!! これまた入りません(T▽T)
5速のカウンターギヤを組み付ける前に、この中間ハウジングを組んでおかないといけませんでした(爆) 何やってんだか。。

自分のバカさ加減にあきれながら、しぶしぶ分解します(T^T) このベアリング、何回外せばいいんだろう^^;


頭を冷やして次回に続きます(^O^;

その12 今度こそミッション組立完了?! 〜 へ続く


inserted by FC2 system